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DarkestoRy
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パンドラの牢獄
Lyricist:奏音69 Composer:奏音69
歴史を変えるのはいつも、誰かが言ったひとつの【言葉】。 世界が夜になるはじまりは、この最悪の物語[ダーケストーリー]。
少年[サウロ]は途方に暮れた。 今日もあいつらに虐められてしまったのだ。 「早く帰りたい……」 サウロは泣きながら、誰もいない牢獄を磨き続けた――。
華麗なこの街[ダルカ]に、僕の居場所はどこにもない。 【言葉】を交わす友達もいない。 ひとり逃げ出そうにも、僕にはそんな勇気もない。 お願い、誰か僕を見つけてくれよ。
見知らぬ地下牢……呼び声がこだまする。 「そこにいるの……?」 誰なのか知りたい。その姿を見たい。 魅せられたサウロは、もう引き返せない。
麗しく澄んだ青い眼。穢れを知らぬ黎[くろ]い髪。 天使が僕に微笑みかける。 「私が、願いを叶えてあげる」 彼には初めてのこと。誰かと【言葉】を交わすのは。 世界を塗り潰すはじまりは、小さな恋でした。
その天使、イリスはひとりぼっちだった。 なぜこんな地下牢にいるのか、それはどうだっていい。 孤独なサウロにとって、イリスは唯一の理解者なのだ。 そして彼は、夜ごとその牢獄を訪れる。
僕のどんな願いも、不思議と叶えてくれる。 彼女は、きっと本当に天使なんだろう
なのに、あいつら。 僕に悪魔が憑いてると蹴りつけた。 「違う……!」 僕にとってむしろ【言葉】を聞きもせず、 嘲笑うお前らが悪魔に見える……!
傷だらけのその心。涙に濡れるその両手が、 禁じられた牢獄を開けてしまう。 「ここから、ふたりで逃げ出そうよ」 Find more lyrics at ※ Mojim.com 彼には初めてのこと。愛で何も見えなくなるのは。 世界は僕にとっての牢獄だ。壊れてしまえばいい。
姿形[すがた]の違う者たちが、恋愛[あい]し合うのは難しい。 午前0時。約束の時間に、イリスは現れなかった。 異変に気付いたのは、その時。 街[ダルカ]から惨憺たる声が聞こえてくるのだ。
暗闇に震える心を押して、サウロは街の方角へ走った。 本当は分かっている。自分が一体何を解き放ってしまったのか。 それでもサウロは、あの天使を―― 【言葉】を、信じていたかった。
やっと会えた。ねぇ顔を見せて。天使のように微笑んで。 「……イリス?」 いや……その姿、もう彼女ではない。 あぁまさか。月が照らす、天使の素顔。 君は――
「夜の悪魔[ヴァンヒール]……!」
それは、悍ましい紅い眼。あぁ、血に飢えた皓[しろ]い牙。 悪魔が僕に微笑みかける。 君だけを愛してたのに、イリス……!
……本当に愛しているわ、サウロ。だから世界を壊してあげるわ。 ただ、あなたには私の愛の手段[かたち]が、'悪意'に映[みえ]るだけ。
悪魔の女が愛を交配[かわ]す手段は、ただひとつ。 心から愛した男を、喰い殺す事である。
牢獄を開けて放たれたのは、まさしく'悪意[あい]'でした。
一夜にして、首都ダルカは堕ちた。 たったひとりの悪魔の【言葉】によって。 かの王国ミンストラは、これから50年余り続く悪魔の支配―― '黒い時代'を迎えるのである。
やがてイリスは、ひとりの男の子を産む。 愛する我が子に'悪意'という皮肉を込めて、 'マリス[Malice]'と名付けた。
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